ぬま歩き<唐桑町明戸地区>
平成25年5月11日・12日。
気仙沼市唐桑町明戸地区にて、ぬま歩きを実施しました。
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<絵地図>
平成25年5月11日・12日。
気仙沼市唐桑町明戸地区にて、ぬま歩きを実施しました。
<絵地図>
《ぬま塾 vol.0 開催概要》
私は家業として、“御誂京染たかはし”という着物屋をやっています。着物業界はとてもニッチかつ斜陽産業で、自分がこの仕事をやり始めた頃から、どんどん下がり続けているような業種です。私がこの仕事についたのは、正直な話、ただ単に家業だったからという事で、好きでもなんでもなかったです。本当は姉が家業を継ぐ予定だったのに、嫁にいってしまったがために、嫌々家業につくことになりました。
それでも原点みたいなものはあって、私が小さいころは、母親が毎日着物を着ていましたし、地域のおばあちゃんたちも着物を着ている人は珍しくありませんでした。同じ世代でも、嫁にいくなら10着くらい着物を持っているのがあたり前、という時代でした。そういう時代から、実際に着る人も少なくなり、収納に困る、管理が大変、自分では着られないなどの理由で、どんどん着物を着る人が少なくなってきました。
“御誂京染たかはし”は、母が起こしたお店でした。次女として生まれた自分は、小さい頃から姉が店を継ぐものだと思っていました。若い頃は結構じゃじゃ馬で、芝居をしたりバイクに乗ったり、親としては「こんな奴は早く出て行ってほしい」と多分思っていたはず(笑)。私もそんな家を早く出たくてしょうがなかったですし、地域の人たちも口うるさい人ばかりで、はっきり言って気仙沼も嫌いでした。そんな狭い範囲での生活が、若いうちはとにかく煩わしく感じていました。
高校卒業して何年かは、仙台で暮らすことになります。学生時代から演劇が好きで、在学中からOL時代まで、四六時中没頭していました。仕事や普段の生活と平行して劇団をやることはとても大変な事でしたが、単純に楽しいからという理由で続けられていました。本番1ヶ月前にもなると、毎日夜中まで稽古をし、チケットの販売もしたりと、寝る間もない中でやっていました。でも、少しも無理している、という気持ちはありませんでした。そういった感覚を持てた事は、今の仕事にもすごく活きていると今になって思います。
ただ、そんなキラキラしていた仙台での生活も、だんだんとその感覚がなくなっていくことに気がつきました。出たくて出たはずなのに、いつの間にか嫌になっていた。そんなとき、「実家に戻って来い」と親に言われて、地元に帰ってくる事になりました。本音としては、仙台での生活が嫌になってきていたのに、周りにも、そして自分にも「親に言われたから仕方なく帰ってきた」と装っていました。若いうちって、そんなプライドや虚栄心のようなものが強かったと思います。そういった心は、自分をガードしているようで、実はがんじがらめにしているなと、あとになって気づきました。
気仙沼に帰ってきて、本格的に家業を継ぐことになります。京染たかはしは私で2代目ですが、現在は譲り受けた当初とは全く別の事業を行っています。着物というジャンルの中でどんどん業種を変えていったのです。
自分は元々着物が嫌いでした。何が嫌いだったかというと、めんどくさい事。たくさん着なければいけないし、たたんだりアイロンをかけたり半襟を縫い付けたりと、細々ケアしないといけない。そんな思いをしてまで着なければいけない着物が、今の世の中に受け入れられるのだろうかと、仕事をしていく中でまず思いました。加えて、着物は着るたびに美容院で着付けをしてもらわなきゃいけないし、着たあと汚れたらシミ抜きもしてもらわないといけないし、とてもお金がかかります。それが嫌だなとずっと思っていました。でも、家業だからやらなければいけないと。嫌いなことを仕事にするのはいや!そこで、少しでもその面倒がなくなる方法は無いかという想いが、今の事業につながっています。自分がものぐさで、面倒くさがりだったから生まれた商売なんです。
私が最初に行った業種転換は、売ることより着てもらうこと。メンテナンス業を強く打ち出し、広く外にもひらかれた店構えに変えていきました。着物業界は元々すごく閉鎖的な上、メンテナンス業はまず儲からないと、誰もやっていませんでした。しかし私は、「着物を着てもらいたいのであれば、メンテナンスを親切にしないと、着物を着る人がいなくなる」と思ったんです。
次に行ったのが小物の販売です。おしゃれをするのに小物はとても大切なポイントですが、和装に合う小物を扱う店が気仙沼にほとんどありませんでした。少ない選択肢の中で選べと言われても楽しくないし、おしゃれしたい人は選びたいんです。だってファッションなのですから。なので、他の呉服屋さんがやらない小物の充実をはかりました。
さらに、肌着の製造にも着手しました。着物は汗ジミが大敵なので、それを防げて簡単に着られる肌着を販売したいと思い、ずっと探していました。しかし、なかなか見つかりません。メーカー側にも作って欲しいとの要望を何度も出しましたが、全く動きがありませんでした。じゃあ無いなら作ってしまおうと(笑)。なので現在は、和装関係のメーカー、小売、メンテナンス業など、総合的に事業を行っています。
そんな自分にも、38歳で転機が訪れます。離婚を経験したのです。それは、私にとって人生最大の挫折でした。この狭いエリアで商売をし、色々な付き合いがあると、人の目に晒される機会は非常に多くなります。それは日々ものすごくダメージだったし、 その時は逃げ出したくてしかたありませんでした。でも、子供もいるし、仕事もしなければいけないし、逃げ出したくても逃げられないという状況。そこから丸3年くらいは、非常に苦しい日々を過ごしました。
ただ、この経験を通して、人としての色々な皮がどんどんむけた気がします。逃げ出したくても逃げられないという状況は、すごく大切な経験だったと思います。どんなに辛くても前を向いていなければいけないということは、自分を圧倒的に育ててくれます。この辛かった期間に、「自分がいいと思ったことをやろう、きっと理解してくれる人がいる」と、毎日念仏のように思っていました。辛かった3年間で、それは正解だったと確信することができました。
震災前も、そして震災後も大切にしている言葉に「苦難福門」という言葉があります。これは、苦しいことを通り抜けたトンネルのあとに、必ず輝かしい未来が待っているという教えです。若いころから私は、わりに素直で、正義感が強い部分があったと思います。曲がったことや理不尽な事が嫌いで、そういった事を我慢するのがすごくフラストレーションでした。でも、この年になって気づくのは、そういった我慢を通して、自分と戦い、周りと戦っていくのはとても大切なことだと学ぶ事ができました。一番衝撃的だった離婚という事件は、一番自分を育ててくれたなと感謝しています。こうでないといけない、という枠を自分から取り払う事が、非常に楽しい人生につながると、今強く感じています。
今になって思うのは、人生で巡り来るものに、無駄なものなんて何一つない、という事です。若いころの自分は、なんの取り柄もないはみだしっ子でした。何をしていても、「こんなはずじゃない」という思いを抱えながら生きていましたし、「私はもっと別の何者かだ!」と思っていました。何が自分を幸せにするかがわかっていなかったんです。でも、今はそれがわかります。それは、「人様に喜ばれる事」です。私の存在を周りの人が必要としてくれると感じられる事、それが自分を幸せにしてくれると明確にわかりました。
それを見つけるために大切にしていた事は、「一度引き受けた頼まれごとは何があってもやり通す」ということです。特に若い頃は目先の損得を考える前に、周りの人に対して何が出来るかを考えたほうが、あとで絶対に得をすると思います。なので、人から請われたことはぜひ引き受けて、寝ないでもやったらいいと思います。頼まれたら無理とは言わずにやり通してみると、必ずそこから学べるものがあるはずです。
その腹が括れるかどうかは、若いころの経験が非常に大切だと思いますので、ぜひこれからも頑張ってください。私も色々とおせっかいしたいと思っています(笑)。
こんにちは、地域支援員の矢野です。
ぬま大学第2期の第2回は、平成28年6月26日(日)、気仙沼市唐桑町にある「舞根集会所」にて開催されました。舞根と書いて、“もうね”と読みます。今回の会場は、今年2016年の4月末に完成した新しい建物。リアス式海岸の丘の上に立つ集会所からは、養殖のイカダが並ぶ綺麗な海を眺めることができます。
テーマ「地域と自分を考える ~課題テーマを設定しよう~」
13:30 開会、事務局挨拶
13:40 ゲスト講話(NPO法人ピースジャム理事長 佐藤賢氏)
15:00 ワークショップ
17:10 クロージング
17:30 閉会
参加者は、ぬま大生10名、一般聴講者5名の15名でした。
ゲストは、NPO法人ピースジャム理事長 佐藤賢氏。NPO法人ピースジャムは、東日本大震災で被災した新生児、乳児、幼児及びその母親を対象とした生活基盤支援を実施されている団体です。
佐藤氏には、マイプラン作成において重要な要素となる「地域課題」と「原体験※1」を中心に、ピースジャムの活動についてお話しいただきました。
特に印象に残っているお話は、“課題”を“穴”として捉えた『佐藤の穴論』です。目の前にある、多くの“課題”=“穴”を埋める行動をしているだけで、活動本来のビジョンを見失ってしまう状況に陥ってはいけないというお話しでした。この話の中で、佐藤氏が簡単な例をあげています。
「食べない」という解決手段では、課題という穴を埋めているだけの行動であり、本来の目的は何なのか見失っている状況です。そうではなく、「美味しくケーキを食べる」という目的の為に、「しっかり歯を磨くこと」を解決手段として実行すべきであるとのことでした。
これからぬま大生がマイプランを実行していくときに、地域課題の解決という「単なる穴埋め作業」をするのではなく、目的に向かって前向きに活動をしていってほしいと、講話の最後にメッセージをくださいました。
※1 原体験:人の生き方や考え方に大きな影響を与える過去の体験のこと。ぬま大学では、「ぬま大生がどうしてそのプランを実行したいと思ったのか」という理由・動機の源である、自身の原体験を掘り下げて明確化していきます。
3グループに分かれて、ぬま大生が「地域課題」「原体験」を中心にマイプランについて7分間プレゼンをしました。プレゼン後は、同じグループのメンバーから質問を受け、それに答える「フィードバック」の時間があります。さらに、ぬま大学では「コメントシート」というものを用意しています。プレゼンを聞いた人が、感想やフィードバックを「コメントシート」に記入して、プレゼン後に本人に渡しています。
講義を通して、ぬま大生、一般聴講者ともに新しい気づきがあったようです。
次回、第3回のテーマは「マイプランを描く~ビジョン・ミッションを描こう~」です。第1回、第2回で掘り下げた“自分”と“地域”をふまえて、マイプランの具体化を行います。
ぬま大学第2期、第3回講義もご期待ください。
ぬま大学第1期生に聞きました!「ぬま大学」について教えてください。第2弾。
今回のゲストは、遠藤みゆさんと熊谷航さんです。
遠藤みゆさん(愛称:みっけ)
岩手県一関市出身。一般社団法人プレーワーカーズ勤務。
熊谷航さん(愛称:航さん)
気仙沼市出身。市内の太陽光発電の会社に勤務。
こんにちは、地域支援員の矢野です。
平成28年度最初のイベントとなるぬまトーークを、平成28年4月23日(土)、4月27日(水)に開催しました。
テーマ「ぬま大学第2期 体験ワークショップ」
19:00 開会
19:05 ぬま大学第1期生パネルディスカッション
19:35 体験ワークショップ
●第1部 個人ワーク:ワークシートに沿ってマイプランをつくってみる
●第2部 グループワーク:マイプラン発表5分+フィードバック6~8分
20:35 ぬま大学募集要項説明(応募方法+スケジュールに関して)
20:45 質疑応答
20:50 クロージング
21:00 終了
4月23日(土)は21名、4月27日(水)は平日にも関わらず14名の方に参加いただきました。4月27日(水)は参加者の半分以上が女性ということで、地域支援員の中では、「今年度はぬま女子大学になるのではないか!?」という話題で盛り上がったことも。(笑)
パネルディスカッションには、2組のゲストに登壇いただきました。
4月23日(土) 菊田真由さん X 立花淳一さん
4月27日(水) 遠藤みゆさん X 熊谷航さん
昨年度、ぬま大学第1期に参加したきっかけや、ぬま大学カリキュラムの中で楽しかったこと、印象に残っていること、苦労したこと、成長したことなど、笑いも交えながらお話ししてくださいました。詳しいトーク内容は卒業生インタビューをチェック!
「自分の好きなこと、興味のあること」と「地域の課題」を組み合わせて、マイプランを作ってみます。おもしろいアイデアがたくさんありましたよ。
プラン名:お下がり協同組合
興味・関心:子育て、物々交換、環境のこと、資源のこと
地域の課題:人と人がつながるための場所がない
プラン名:古いものには福があるプロジェクト
興味・関心:小屋、倉庫、古民家などを写真にとる
地域の課題:古いものを壊す
プラン名:日常の「ニヤニヤ」を表現
興味・関心:刺繍、幸福感、くすぶられるモノ・ヒト
地域の課題:人間関係
ぬま大学第1期生OBと、参加者3~4名がグループになり、自分が作ったマイプランを発表します。どのグループを見ても、マイプランに関する質問が飛び交い、楽しそうに交流している姿が見られました。
「地域のために活動する」ことが大きいことに思えたり、難しく思えたりして、何をすればいいかわからない、なかなか一歩が踏み出せない…そんなことを感じている人は多いと思います。でも、もう少し簡単に考えてみてはどうでしょうか?自分の興味関心と、地域課題を結びつけて、自分だけのプランを作成する。そして、自分にしかできない小さな活動を始めてみる。同じように活動している仲間をみて、自分にも出来るのではないかと元気をもらう。そんなキッカケになる場、ぬま大学を垣間見ることができたイベントでした。
こんにちは、地域支援員の矢野です。
平成28年5月28日(土)、5月29日(日)の2日間、ぬま大学第2期の第1回講義が開催されました。場所は、気仙沼市本吉町にある「前浜マリンセンタ―」。前浜地区のコミュニティスペースとして利用されているこの建物は、木造平屋建て、木の匂いに満たされた心地よい場所です。
テーマ「イントロダクション~地域と自分を知ろう~」
5月28日(土) 自分を知ろう
13:00 開会、事務局挨拶
13:15 ぬま大学について紹介
13:30 アイスブレイク
14:00 15分間ロング自己紹介
16:40 ワークショップ
17:20 クロージング
17:30 閉会
5月29日(日) 地域を知ろう
8:30 開会、まち歩きについて説明
9:00 まち歩き開始
12:10 前浜マリンセンターへ移動
12:40 まとめ作業開始
13:45 クロージング
14:00 閉会
初めて顔をあわせた受講生。まずはお互いの名前を覚えよう!ということで、車座になり、【となりのとなりの自己紹介】をしました。これは「○○さんのとなりの、□□さんのとなりの、△△です。」と順番に名前を言っていくゲームです。多々笑いが起こり、想像以上に盛り上がりました。
会場の雰囲気がほぐれたところで、いよいよ講義が始まります。1日目のテーマは「自分を知る」ということで、受講生1人1人に、15分間の自己紹介をしてもらいました。最初は「15分も自分のことを話せるのかな…」と不安がっていた受講生ですが、話し始めると、どんどん話が盛り上がっていきます。
仲間の波乱万丈な人生談に、笑いも絶えず、受講生の楽しそうな様子がうかがえました。
自己紹介の後は、4~5人のグループに分かれ、自身のマイプランの発表と意見交換をしました。初めて人前でマイプランを話す受講生ですが、慣れない中、一生懸命プレゼンする姿が印象的でした。ここで、1日目の講義は終了です。
第1回目講義が合宿となる今回は、夜ご飯をみんなで作りました。メニューは、合宿といえばの恒例の、カレーライス&BBQです。私たち地域支援員も受講生に混ざって、わいわい楽しくご飯をいただきました。
とても良いお天気なので、朝ご飯は外のテラスで、昨日作ったカレーライスをいただきます。のどかですね。
朝ご飯の後は、さっそく講義が始まります。2日目は「地域を知る」ということで、NPO法人浜わらすさんにご協力いただき、本吉地区を対象としたまち歩きを実施しました。今回まちを案内してくださる地元の住民さん(通称:案内人)は、こちらの3名。
まず初めに、NPO法人浜わらす 笠原さん、サポートスタッフ の畠山さん2人に案内していただきながら、案内人さんの活動場所に向かって、まちを歩きます。
写真左側が、畠山さん、右側が笠原さん。受講生は、気になったこと、わからないことを積極的に質問し、メモをとっていました。
30分ほど歩いた後は、3つのグループに分かれて案内人さんの活動現場に向かいます。
芳賀さんのグループは、芳賀さんのご自宅へお邪魔しました。実はこの日、「ウニの開口日」だったんです。‟開口”とは、”漁の解禁日”のことなのですが、漁師でもある芳賀さんはその日の朝にウニを捕り、ご自宅前の倉庫で、家族と一緒に作業をしていました。
芳賀さんは作業をしながら、地域についていろいろなお話をしてくださり、受講生は、ウニの作業と芳賀さんのお話に興味津々です。そして、いただいた捕れたてのウニを「美味しい!」と幸せそうな笑顔で食べていました。
案内人さんのお話を聞いた後は、前浜マリンセンターに戻り、グループごとにまとめをします。
まち歩きを通して、
を付箋に書き出してグループ内で共有し、共有した内容をグループごとに発表しました。
今まで知らなかった地域の魅力、課題に気づき、学んだこと、感じたことが多く、積極的に話し合う姿が見られました。
2日間のクロージングとして、ぬま大学メイン講師である、有限会社エコカレッジ代表取締役 尾野寛明氏よりお言葉をいただきました。
ぬま大学第2期、素敵なメンバーが勢ぞろいしました。今後もぬま大学第2期を、どうぞご期待ください。