ぬまトーーク vol.16
こんにちは、事務局の矢野です。
2020年9月19日(土)に開催しました、ぬまトーークvol.16の様子をお届けします。
今回のぬまトーークも、6ヶ月間のまちづくり実践塾「ぬま大学」を卒業したぬま大生と一緒に企画をしております!
今回はぬま大学第3期卒業生の佐藤晃子さん(あちこさん)プロデュースで「気仙沼で「新型コロナと食」について考える」というテーマで開催しました。
あちこさんは、ぬま大学では「子どもたちが「食」を通して心も体も元気になるまち」を目指したマイプランを考え、現在は栄養教諭として、現場の子どもたちに食に関する指導(食育)を行っています。しかしこの新型コロナウイルス感染拡大に伴い、現場の状況が一変したようです。そこで、今の気仙沼の「食」に対する意識を捉え直し、より良い食育の場を作れないかと思い、今回のぬまトーークを企画しました。
ぬまトーークvol.16でやったこと
テーマ「気仙沼で「新型コロナと食」について考える」
19:15 開会
19:20 オープニング
19:40 ゲストトーーク
20:25 ワークショップ
21:10 クロージング
21:15 終了
オープニング
「新型コロナが流行して、食生活含めた生活がガラッと一変したと思います。私の勤める学校給食の食育現場も大きく変わりました。様々ある変化の中で私は、食育がしづらくなったというデメリットを多く感じています。そんなメリット、デメリット、様々ある中で気仙沼ではどのような影響や変化があったのか話しながら、皆さんの考えていることを聞かせてもらえると嬉しいです。」
とあちこさんの想いを伝え、ぬまトーークはスタートしました。
ゲストトーーク
まずは気仙沼で「食」にまつわる活動をされている3組のゲストのお話を聞いていきました。
「食」といっても、関わり方や考える視点は様々。今回は、『食の選択』『食生活』『食のコミュニティ』というようなキーワードが浮かび上がって来る活動をされているみなさんにお越しいただきました。
そんなゲストの皆さんには自身の活動についてと、それぞれの視点から新型コロナウイルスによる影響をお話しいただきました。
ゲストトーーク1組目は、「きたろうプロジェクト」の小野寺佑友さんと平田和佳さん。
活動から浮かんでくるキーワードは『食の選択』です。
このプロジェクトは2017年からはじまりました。本吉地区で、命のいただき方を考えるために1頭の牛(きたろう)を育て、食べるところまでを行っています。
プロジェクトでは「肉牛が“自然な生き方”で人間と共存できる道をつくる」「肉牛の価値を伝えることで多様な食の選択ができる知識を持ってもらう」の2つをミッションに掲げ、牛にとって自然で負荷のない生育環境を追求すること、牛の命を感じながら食べられる場や肉牛と繋がれる機会の提供、多様な食の在り方を考えられるコミュニティづくりを行っているそうです。
そして、今年はそのお肉を食べるイベントなどを開くことで、活動を「広める」ことに重きを置いた1年でしたが、新型コロナの影響で「食」のイベントを開催することが難しくなったそうです。一方で、これらの課題に直面したことで、改めて活動の目的を考え直す機会となり、自分たちが大切にしたいことを見つけることができたそうです。
その気づきから、今後は食の選択肢を考えつくっていける人とつながり一緒に活動していこうと活動の方向をかえ、これから生まれてくる新しい1頭の肉牛を、共感・関心が高い人達と一緒に育てていきたいとお話いただきました。
ゲストトーーク2組目は、栄養教諭の藤澤麻衣子さん。
活動から浮かんでくるキーワードは『食生活』です。
17年間気仙沼で栄養教諭として勤務をしていた藤澤さんは、あちこさんの尊敬する大先輩です。栄養教諭は「栄養士」と「教員」の両方の側面を持っており、学校現場で給食を作りながら子どもたちに食に関する指導(食育)を行なっています。
藤澤さんが栄養教諭として大切にしていることは「給食をただのお昼ご飯にしないこと」。それは、「食」の背景を考えられる子どもになってほしいという思いからで、栄養の数値だけでなく、「食」の背景やストーリーを考えられるような「情緒的な給食作り」を目指しているそうです。
具体的には、同じ中学校出身である気仙沼向洋高校の先輩が実習で捕ってきたマグロを使った給食や、社会科の授業と連携したインドネシア料理の給食など。授業と給食を結びつけることで考えがより深まり、子ども達は授業で習ったことを忘れにくくなるとお話いただきました。
そんな藤澤さんのお仕事は、新型コロナの影響で様々な制限ができ、従来の「食」に関する指導(食育)ができなくなってしまったそうです。また、休学期間中の子どもたちの栄養摂取状況も気がかりで、この期間中の食事が子どもたちの成長に影響していないかが心配だとお話いただきました。このことをきっかけに、これからは子ども達だけではなく、家庭を対象とした食に関する指導も実施していく必要があると考えるようになったそうです。
ゲストトーーク3組目は、仁屋の加藤広大さん。
活動から浮かんでくるキーワードは『食のコミュニティ』です。
仁屋という団体は、2019年に「食」が大好きな移住者3人で立ち上げました。加藤さん自身は、「食」には「誰がつくったのか、誰が届けたのか、誰と料理して、誰と食べたのか」という“ストーリー“をたくさん盛り込めるところに魅力を感じており、その“ストーリー“を大切にした「食のコミュニティづくり」を始め、様々な事業を行なっています。
代表的な活動として、昨年、唐桑地区のホタテ養殖漁師さんのチャレンジ「100%唐桑産のホタテ養殖」を応援するクラウドファンディングを行いました(詳しくはこちら)。近年ホタテの貝毒が頻繁に発生している影響で、気仙沼のホタテ養殖漁師さん達が大ダメージを受けているそうです。知り合いのホタテ漁師さんと話をする中で、「100%唐桑産のホタテ養殖」にチャレンジすることが課題解決につながるのではないかというの1つの仮説から、クラウドファンディングの実施を決めたそうです。さらに、「食」のコミュニティづくりとして、唐桑地区のホタテ漁師さんが育てたホタテを食べるイベントを気仙沼や東京で開催してきました。
「食」は究極のオフラインコンテンツだと思っていたところ、新型コロナの影響で仁屋さんも「食」のイベントを開催することができなくなってしまったとのこと。一方で、”オンライン飲み会”が普及する等、「食」のコミュニケーションの形式が変化している中で、改めて「食」のコミュニケーションの本質について考えるようになったそうです。この気づきから今はオンライン・オフラインの両方を視野に入れた、コロナ禍における新しい「食」のコミュニケーション・コミュニティのあり方を探っているとお話いただきました。
ワークショップ
3組のゲストからたっぷりと熱いお話を聞いたところで、ワークショップへと進みます。
先ほど聞いたゲストのお話と紐付けた3つのテーマ『食の選択』『食生活』『食のコミュニティ』を用意し、参加者には考えたいテーマを1つ選んでもらいました。
そこから、選んだテーマごとにグループを作り、
- 新型コロナによってあなたの「食○○」はどう変わったか。
※「食○○」には参加者が選んだテーマが入ります。 - その変化はあなたにとってよかったことか、よくなかったことか。それはどうしてか。
- これからあなたは
ー『食の選択』:どのような食を選んで食べられるといいか。
ー『食生活』:どのような食生活を送れるといいか。
ー『食のコミュニティ』:どのような人とどのように食を楽しめるといいか。
を考え、トーークしていきました。
トーークでは、参加者が自身の生活に結びつけるだけでなく、自身のお仕事などにも結びつけて考えてくださっている様子がとても印象的でした。
クロージング
最後に、ゲストとこのぬまトーークをプロデュースしてくれた佐藤さんから一言ずつ感想をいただきました。
仁屋の加藤さんが話した「食は想うことなのではないか」という言葉に、参加者のみなさんは、またひとつ思いを巡らせながら会は終了しました。
参加者のこえ
- 食について熱い思いを持った方がたくさんいることが分かったので、もっと調べたいと思いました。
- 食の話でこんなに語れるとは、期待した以上に楽しかったです。
- 今まで自分があまり知らなかった視点から食について聞くことができて、自分自身の食の捉え方が深まりました。
誰にでも必ず身近な「食」は、トーークしてもしても尽きません。
そんな中、今回は3組のゲストによる『食の選択』『食生活』『食のコミュニティ』というテーマで話すことで、より「食」に対する思いが募る一夜でした。
次回のぬまトーークもご期待ください◎