レポート|ぬま塾vol.32
すべての生き物にとって居心地の良い場所を。ゲスト:小野寺雅之さんのお話
開催概要
- 日にち :2023年9月16日(土)
- 時間 :10:00〜12:00
- 場所 :大谷漁村センター
- ゲスト :小野寺 雅之さん
- 参加者 :11名
- タイムライン
10:00 オープニング
10:10 ゲストのお話し
11:20 感想シェア
11:30 質問タイム
11:55 クロージング
12:00 終了
レポート
気仙沼で活動するゲストのお話が聞ける『ぬま塾』。
9/16(土)、第32回を大谷地区にある漁村センターにて開催しました。
今回のゲストは、気仙沼の大谷地区で地域の豊かな自然と暮らしの再生に取り組んでいる、小野寺雅之さん。
「自然からまなぼう!」という内容で、これまで小野寺さんが気仙沼で行ってきた取り組みや、大切にしていることについて学びました。
主に前半は、地域に根ざした教育としての「大谷ハチドリ計画」について、
後半は、生態系デザイン手法の「パーマカルチャー」をキーワードにお話いただきました。
このレポートでは一部を事務局の視点から紹介します。
●お話①「大谷ハチドリ計画」とは
南アフリカの原住民に伝わる「ハチドリのひとしずくの物語(※1)」から名前を取った、
環境NGOが始めたプロジェクトがあります。
気仙沼大谷地域では2004年に小野寺さんが、幼稚園児から中学生の子どもたちが連携し、
一緒に学んでいく環境教育としてスタートさせたそうです。
今回は特に、その中の活動の一つ「ふゆみずたんぼ(※2)」という無農薬療法で、
子ども達が稲作する様子を紹介いただきました。
このふゆみずたんぼは、2011年の震災で被害を受けますが
「ふゆみずたんぼの復興は、
子どもたちに、地域の人たちにも大きな励みになるはずだ」
と、小野寺さんが全国から仲間を集め復活させます。
当時の映像を見せていただき、自然に傷つきながらも、また自然に触れ笑顔を見せる子ども達の様子が印象的でした。
また他にも、大谷地域の特徴でもある海と山の「松枯れ」「磯焼け」に対する活動などを説明いただきました。
「“ハチドリのひとしずく” のように、出来ることは小さくても取り組むことが大切」。
そのメッセージをそれぞれに受け取る時間となりました。
●お話②「パーマカルチャー」とは
続いて、そんな活動をされてきた小野寺さんが着目している「パーマカルチャー」について、教えていただきました。
パーマカルチャーとは、permanent (永続性)、agriculture (農業)、culture(文化) の短縮形を組み合わせた言葉で、
1970年代頃の海外での提唱に端を発したそうです。
文化・人と自然が豊かになる関係を築いていくための「農的暮らしの永久デザイン」だと言います。
「農」という言葉がありますが、それだけでなく、
「自分の生き方」や全てに通じるということが、小野寺さんのお話から伺えます。
たとえば、パーマカルチャーの原則には「観察」「対話」があり、
小野寺さん自身は、自給自足のため営まれる畑では「そこで育つ作物の声を聴く」こと。
自分の身体にも「耳を傾けること」を日々行われているそうです。
パーマカルチャーの取り入れ方・考え方に正解はなく、100人いたら100通りで、
「自分なりの心地よさを感じ大切にすること」が根幹にあるとお話いただきました。
そして、小野寺さんにとってのパーマカルチャーは「すべての生き物にとって居心地の良い場所」だそうです。
小さくとも、自分のいるこの地域から始めることで自分も他者も含めた「すべての生き物にとって居心地の良い場所」に繋がっていく…
その思いを小野寺さんから受け取りました。
そんなぎゅっと凝縮されたゲストのお話から、参加者同士の感想シェアや質問タイムも挟み、あっという間の2時間。
引き続き学び、一人一人ができることを実践していきたいと思います。
※1 ハチドリのひとしずくの物語
「森火事に一滴ずつ水を運ぶハチドリに対して、森から逃げた動物たちは
『そんなことして何になるのだ』と笑います。
ハチドリは『私は、私にできることをしているだけ』と答えました……」(引用:辻 信一監修)
※2 ふゆみずたんぼ
冬も田んぼに水を張ることで、微生物からの栄養によって土壌が豊かになる無農薬療法。
参加者の声
- 「ハチドリ計画」や学校の取り組みについて知らなかったので、興味深く拝見しました。
子ども達にどのように伝えて行けばよいかなどもっと知りたいなと思いました。 - 気仙沼の昔の風景や、自然破壊が進んでいる様子を知り、
自分にできることは小さくてもやらないと変わらないと思いました。 - 自分自身も他者も居心地がよく、地球にも優しいという生き方を選択していいんだと、バックボーンをいただいたように思います。