ぬま塾 vol.17 ~ゲストへのQ&A集~

ぬま塾 vol.17

みなさん、こんにちは。地域支援員の矢野です。
2017年3月15日(水)に開催された、第17回ぬま塾の活動レポート第2弾。
◆「第17回ぬま塾活動レポート」はこちら

ゲストは、サンマリン気仙沼ホテル観洋、気仙沼プラザホテルの女将 田村恭子さん。
当日、参加者のみなさんからいただいたゲストへの質問は、なんと34個。
34問すべての回答を、ここで大公開しちゃいます!

ゲストへのQ&A集

ぬま塾 vol.17

仕事について
(1)女将としての平均的な一日の過ごし方を教えてください。
《回答》
朝はお見送りから始まって、お客様がチェックアウトされるのを終えたあとは、そこから次のチェックインの15時ころまでは、打ち合わせや館内業務を行ったり、市の会議に参加したりしています。また、お取引先の方々の打ち合わせにもあてています。
チェックインではお客様のお出迎えをして、いらっしゃる方々とお話をしたり、対応しています。お食事時間になれば、料理段取りの確認や、お客様がどのように召し上がっていらっしゃるかを拝見したり、実際にサービスしたりするときもあります。

(2)世の中の動きをどのような方法で仕入れているのでしょうか?
《回答》
ホテルに関連する情報としては、業界団体の会議や講習会、セミナーなどに出向いたりします。また、その業界の情報誌やメールマガジンなどもあるので、そういったルートで情報を得ています。

(3)(まちの次世代へのメッセージ)市外の人との最初の接点であり、いろんな人との出会いの中で、まちが今後どうなっていってほしいと思いますか?
《回答》
今いらっしゃるお客様は、震災後に復興していく気仙沼の状況を見ていただいていますが、震災以前よりもより素敵な街に、暮らしやすい街になることが、市外から来た方にとっても魅力になるのでは、と思っています。やはり、市内に住んでいる人が、いい街だと思っていないと、市外の人に対してもその気持が伝わらないと思っています。なので、街に活気があり、若い人たちも盛り上がっていて、暮らしが充実していくことで、観光も充実してくると思っています。

(4)仕事と生活の両立について。当時は周囲のサポートもあったから育児もできたとのことですが、職場の仲間にも協力してもらえたのでしょうか?また、どのように理解を得られたのでしょうか?
《回答》
職場の人たちの理解がないと、自分も気持ちよく働けないし、職場の方々も一緒だと思います。なので、今の自分に出来るのはここまでだ、とまずはしっかりと伝えました。育児は、期間限定でもあるので、義務教育期間が終われば業務にしっかりと従事出来る、だからそこまでは、ときちんと説明すること、理解を得ることを大切にしていました。

(5)お客様と接する上で気をつけている・心がけていることは何でしょうか?また、お客様から叱られた時、失敗した時の切りかえ方はありますか?
《回答》
気をつけていることは、きちんとお客様の目を見ること、そしてお客様が来るのを待つのはなく、些細なことでも一声かけるようにしています。あとは身だしなみも気をつけますし、場面に合わせた言葉遣いにも気をつけています。その方が何を思っているのかを、なるべく瞬時に理解出来るように心がけています。
叱られたときは、まずお客様が伝えたいことをきちんと聞くことが大切だと思います。サービス業としての切り替え方は、場や時間、人を変えることが必要なときもあります。自分自身としては、お客様の声に真摯に答えることに気をつけていますし、逆にできないことはちゃんと理由も添えて、出来ないとお伝えしています。

(6)女将が変わる(女将がいる)とホテルはどんな風に変わるのでしょうか?
《回答》
女性が入ると、ホテルに柔らかさが出てくる気がします。スーツの男性が多いホテルと、女性スタッフが多いホテルだと、やっぱり女性特有の柔らかさが出てくると思います。加えて、細かいところまで目が行き届くきめ細やかさが出てくるのだと思います。

(7)今から起業して宿泊業(民宿含む)したいと思う人へのアドバイスはありますか?(気仙沼限定でOK)
《回答》
お客様目線を常に考えて行動することが大切だと思います。あとは、健康には十分注意して頂きたいです。そこが結果的に一番大切かなと思います。あとは、気仙沼でどういうお客様をおもてなししたいかを意識して生活することが大切かと思います。

(8)女将にとっての最高のおもてなしとは何でしょうか?
《回答》
「最高のおもてなし」とは何か、ということを常に意識し考えています。

(9)記憶に残る宿泊客について聞きたいです。
《回答》
いっぱいいらっしゃいますが、特に印象的だったのはハワイからいらしたお客様で、わざわざプラザホテルを選んで頂いたお客様がいらっしゃいました。ネットを見て、景観などで選んで頂いたようでした。かなりご高齢のご夫婦で、震災前に初めて宿泊された際には外国人観光客としてのご意見、ご指摘を沢山頂きましたが、それ以来、年に2回、継続的に来て頂いていて、大変うれしく思っています。

(10)家族経営の、長所、短所、良かったこと、辛かったこと、そして今後どうされたいと思っていますか?
《回答》
長所はなんでも相談し合えることです。短所といえるかはわかりませんが、仕事と家族の垣根がなくなる関係になる、というのはあります。今後は、家族だけでなく、同じ想いを持った従業員さんを育成していくことが大事だと思っています。

(11)自分のことをずるがしこいとおっしゃっていたが、阿部長グループがあるから安心感があったのでしょうか?
《回答》
ある意味家族経営でありながら、そうでない部分もあって、だからこその安心感はありました。

(12)仲間から女将として認められたと思えたのはいつごろでしょうか?
《回答》
5年はかかったと思います。子育てが落ち着いて、十分にホテルに従事出来るようになってから、自分自身もそう思えるようになったし、周りもそうなのかもしれないなと思います。

(13)2代目女将への注文。そして、娘さんにこの仕事を継がせたいと思いますか?
《回答》
娘に継がせたい、とは思います。注文としては、その人なりの希望や思いを尊重しながら、お客様第一で仕事をしてもらえたらいいかなと思います。

(14)ライバルの存在(お姉さん?)についてどう思っていますか?
《回答》
姉はとても偉大な存在です。女将の先輩がいてくれたからこそ、自分のやるべきことが見えることもあるし、逆に協力しながら、ホテルをよくしていきたいという協力者であることもあります。尊敬すべき人の一人です。

気仙沼について
(15)「キラキラした東京で生活した」からこそ、「現在の気仙沼での生活が良い」と思えることはありますか?
《回答》
気仙沼にいたときは、不便だな、窮屈だなと強く思っていました。その中で東京にいったら、便利で自由だと思いました。しかし、長く生活していると、東京での人間関係が薄く感じ、若い時は窮屈だと思っていた気仙沼での人間関係が改めていいなと思いました。地域では、いい意味でどんどん介入してきてくれる。また、「△△の娘・息子の○○です」と言えばだいたいわかってもらえるし、おかげで仕事をする上では話が早く進むことが多いです。特に子育てのときは、それがありがたいと強く感じました。

(16)東京にはないもので、気仙沼にしかないものは何でしょうか?
《回答》
(15)と同じです。

(17)都市圏、地域どちらにも住まれて感じるそれぞれに必要だと思うことはありますか?
《回答》
どちらもコミュニケーションは必要だと思います。特に、震災を受けて、自治会組織などのコミュニティは本当に大切だなと思うようになりました。

(18)東京の良さと、気仙沼の良さ。そして、守っていかなければならないものは何だと思いますか?
《回答》
東京の良さは、情報量や利便性で、気仙沼の良さは食や住んでいる人の人間性だと思います。地域の文化は守っていかないと行けないなと思っています。震災が起き、何も無くなって遮断されてしまった状況の中で人は生きようと前に進んでいく中でコミュニティが出来、人が集まった時に郷土芸能が復活していくのを見ていて、地域の文化はこれからも受け継がれていくべきなのではないかと思うようになりました。

(19)家業があった以外で地元にもどると決めていた理由やエピソードはありますか?
《回答》
う~ん、ないです(笑)

(20)ふるさとを離れてわかった気仙沼はどのような印象でしたか?
《回答》
「気仙沼」の地名の知名度の高さに驚き、「不便な場所」だと悪い点しか見れていなかったけれども、「景観の美しい食の豊富な港まち」ということを実感しました(水や魚の美味しさを実感)。
あと、東北人でなく「気仙沼人」と言える地域性の強い場所かな。

(21)気仙沼に戻ってきたときの地域とのつながりはどのようだったのでしょうか?
《回答》
(15)と同じで、「△△の娘・息子の○○です」と言えばすぐに理解してくれる関係性が出来ていた。

(22)気仙沼に戻ってくる時に後押しになったものはありますか?(旦那さんを説得する体力とか、子どもさんの準備とか、パワーが必要だったのではと思いました。)
《回答》
気仙沼で待っていてくれる人がいた、ということだと思います。よく帰ってきた、待っていた、といってくれる人がいたことが大きかったです。

(23)気仙沼の人と仲良くなる(うちとける)コツなどはありますか?
《回答》
気仙沼出身の方は(15)と同様に、「△△の娘・息子の○○です」という看板を強みにしてほしいです。
移住者の方は、相手の住んでいる地域を聞く、というのはいいと思います。そこから話を膨らませたりするといいかもしれません。

女将自身について
(24)髪は自分でセットされているのでしょうか?
《回答》
はい(笑)

(25)親の背中のどんなところに憧れたのかを詳しく聞きたいです。
《回答》
仕事を苦にせず、打ち込んでいる姿かなと思います。親が子どもの時代は、勉強したくてもなかなかできなかった中で、自分たちで学びながら仕事をしていた両親は(小さい頃はわからなかったけれども)すごいなと思います。

(26)大学で観光の勉強では、どんなことを学んだ・やりましたか?
《回答》
実際にホテル研修へ行ったり、海外研修へ行く機会がありました。あとは、学内の食堂で自分たちが料理を作って販売する、という授業もあって、実践型の学びが中心だったかと思います。

(27)東京に出ていたことで、もしくは、3番目の子どもだったことで、他の兄弟と比べたとき、自分の強みは何でしょうか?
《回答》
東京の企業で働いたり、東京で子育てしたりと、外を見る時間を長く持てたので、色々な経験が出来た事だと思います。

(28)姉・兄と比べられ寂しさなどはなかったのでしょうか?
《回答》
将来の方向づけをされなかったことで、寂しさというよりかは、悩みを持ったことがありました。どうやって生活していけばいいかという不安は多少あったように思います。

(29)人との関わりが自分を成長させるということで、具体的な経験・エピソード(こういう人に出会ったなど)はありますか?
《回答》
85歳のお医者様で現在もなお仕事をされているお客様との出会いです。10年程前から月に1度宿泊を頂いていました(残念ながら今は仕事場所が変わって、いらしておりませんが)。まさに経験談をお話し下さる方です。「本物に触れることは大事な事・気持ちを豊かにする事に繋がる」とおっしゃり、「造花を見るなら少しの生花を見ると嬉しいね」などとお話下さいます。今は手紙や電話でお付き合いを頂いています。

(30)東京にいた時、主人の転勤を受け入れていたのでしょうか?
《回答》
そうですね。どこでもついていくという考えでした。

(31)プライベートと仕事の切り替え方(気持ち・行動)は?
《回答》
仕事のときとプライベートのときで、髪型を変えたり、などはあるかと思います。あと、気仙沼から出るときとか。

(32)聞き上手のポイントは?
《回答》
きちんと相槌をうつことと、否定をしないことは意識しています。

(33)移住者に望むことはありますか?
《回答》
気仙沼を楽しんで欲しいなと思います。色々な人と関わって欲しいです。(本音としては、末永くいて欲しいなと思います笑)

(34)今後、チャレンジしようと思っていることはありますか?(個人的でも、社会的でも)
《回答》
色々と資格を取りたいなと思っています。何の資格かは秘密です(笑)。

以上、田村女将へのQ&A集でした。
次回のぬま塾も、ご期待ください!!